勝敗を分ける「構成」の選択
モバイルレジェンドやLoLワイルドリフトなど、MOBA系ゲームのドラフトは盤上のチェスに似ている。単なる好きなキャラのピックではなく、チーム全体の勝率、さらにはランク帯のメタにまで影響する。特にバースト構成とピール構成は、どちらも一長一短があり、その見極めがドラフト巧者か否かを決める分水嶺だ。
数え切れないほどのランク戦で、「あと一押し」が足りずに負けた経験は誰しもあるだろう。その原因を突き詰めると、意外なほど「構成の相性」に行き着く場合が多い。最近流行りのエンゲージ構成や、前衛と後衛の役割分担も重要だが、ここでは特に「バースト」と「ピール」にフォーカスして掘り下げてみたい。
バースト構成とは何か
バースト(Burst)とは、一瞬で大ダメージを叩き出す力。バースト構成は、その名の通り瞬間火力に特化したチーム編成だ。典型的な例としてはアサシン2人+高火力メイジ+柔軟なエンゲージタンク+爆発力重視のADC、といった組み合わせが挙げられる。
ドラフト段階で敵チームに耐久寄りや回復系が多い場合、「瞬殺できるか」が勝負になる。このときバースト構成なら、相手タンクですら一気に溶かせる展開も珍しくない。一方で「外した時」のリスクも高く、スキルショット失敗や主力キャリーの位置取りミスが致命傷になることもしばしば。
個人的な経験から言えば、ソロランクでは知識だけでなく瞬時の判断力も問われるため、「自信あるバースター」を1人でも抱えておくと緊急時の逆転力が増す。ただし全員がバースト志向だと継戦能力が落ちるので、その塩梅が難しいところだ。
ピール構成とは何か
ピール(Peel)は直訳すると「剥がす」「守る」だが、MOBA文脈では味方キャリーを敵から守る動きを指す。ピール構成はサポートやタンクによって後衛を安全地帯に置きつつ、中~長期的な集団戦で有利を取るスタイルになる。

具体的にはノックバックやスタン持ちサポート、範囲ヒール持ちなど、「味方保護」が得意な英雄を多く採用する。相手に強引なエンゲージやアサシン系カウンターがいた場合、このピール性能こそが生命線となることも多い。
たとえばデュオでADC+サポートを担当する場合、お互い意思疎通しながら「ここぞ」というタイミングでピールスキルを温存しておけば、高ティア帯でも十分通用する安定感を生む。初心者ドラフトでも無理な前ブリンクより堅実なピール選択肢を優先したほうが事故死率は明らかに下がる。
バースト・ピール両立型は存在するか
現環境では純粋な5人フルバーストや5人フルピールはほぼ現実的ではない。それぞれ極端すぎて対応されやすいからだ。重要なのは「どこまで寄せて」「どこで妥協するか」のさじ加減。
中には爆発力重視だけれど最低限守れる仕組み(例:自己シールド持ちアサシン)、逆に耐久主体だけど局面ごとのカウンターバースト(例:ウルトのみ大ダメージ)を備えているキャラもいる。こうした“ハイブリッド”型はドラフト終盤、敵チームのBanやカウンターピック状況によって価値が跳ね上がることもある。
シナジー重視 VS カウンター重視
身近なアンランク帯でもありがちな失敗パターンとして、「味方同士コンボだけ見て敵へのカウンター意識ゼロ」または逆に「目先のカウンターしか考えず内輪不和」になってしまうケース。この二極化こそベテランプレイヤー陣営でも悩ましい問題だろう。
筆者の場合、“three人揃えば最低限シナジー成立”というラインを設け、それ以外は都度カウンター・対策キャラ枠としてフレキシブル運用している。ここまで来ればティア表など数字遊び以上の“現場感覚”になってくる。
メタ変動とドラフト優先度
毎月アップデートやナーフ・バフ調整によってランキング上位(ティアS~A)の顔ぶれも変わる。たとえば回復環境ならグレイブズ・アンジェラなど持続戦向きキャラ優勢となり、それへの対策として即死火力(=バースト)枠需要が急増することもある。一方ストライカー系ADC全盛なら前衛厚め+徹底的なピール体制で固めたほうが安定感につながりやすい。
このような“メタ読み”には日々情報収集と検証プレイ必須だ。ただ単純な流行追従より、「自分またはデュオ仲間との噛み合わせ」まで意識できれば中級者以上への第一歩となる。
ピック&バン戦略:状況別選択肢
実際のドラフト画面では時間制限付きで連続判断を求められるため、「迷ったらこれ」という基準リストを1つ挙げておく。
困った時に使える即席基準
敵チーム最初2体→エンゲージ寄り or バースト型ならこちらは最低1枚ピール確保 味方ADC予定→早めにセーフティ志向サポート or タンク提示 対面ミッド火力高そう→柔軟性あるCC持ちミッド/ジャングラー採用 Ban優先枠→その試合一番嫌われている“壊れ性能” or 自分たち苦手意識ある対策キャラ 構成例チェック→自チーム内最低2枚以上CC or 緊急離脱可能キャラ確保この程度でも序盤混乱せず形になるケースは増える印象だ。本当はさらに細分化できるものの、「全員即答できない」野良マッチではむしろ簡潔さ優先がおすすめ。
代表的なバースト/ピール英雄例
プロ大会や高ティア帯でよく見かける代表例を書き出してみよう。それぞれ得意不得意マッチアップあり、一概に“最強”と言い切れない点にも注目してほしい。
| タイプ | 英雄名 | 得意パターン | 苦手パターン | | ------------ | ------------------ | --------------------------- | --------------------- | | MLBB 課金 Android バースト | カグラ, ガレン | 奇襲, 短期決着 | 長期戦, 高耐久 | | ピール | アンジェラ, ラファエル | 後衛守備, 継続回復 | バースト, 突撃型 | | ハイブリッド | グローバス, フィズ | 柔軟対応, 状況判断 | 集団戦混戦 |
もちろん環境次第で評価変動あり。「この英雄だから絶対○○型」と思い込み過ぎず、自身または味方とのデュオ相性・習熟度まで考慮したいところだ。
ソロ向け/デュオ向けドラフト観点
ソロQでは完全統率困難なので、“自己完結型”または“事故死防止性能”重視がおすすめ。一方、固定パーティー特有のお互い補完関係(例:ADC+盾役サポ)が作れる場合、大胆なピーキー編成にも挑戦できる余地が生まれる。
例えば筆者周辺でも「普段ソロ専だった人同士デュオ組んだだけ」で急激に勝率改善した実例多数あり。この背景には互いへの信頼感・即応性アップのみならず、「事前相談によるBan優先枠共有」メリットも大きいと感じている。「今季流行りそうだけど、自分たち使えないor苦手」な対策キャラについて早々Banすることで精神的余裕にもつながったという声もしばしば聞く。
ティア表頼みにならない判断軸
ネット公開されている最新ティア表(Tier List)は参考になるものの、そのまま鵜呑みにしてはいけない。「自分/仲間との得意不得意」「その日の環境」「相手チーム傾向」など要素多数だからだ。同じA+評価でも扱いやすさ・扱いづらさには雲泥差あり、自身フィットしない英雄より多少下位評価でも慣れているほうが結果的に勝率安定しやすい実感がある。「最強ランキング順番通り」はあくまで補助線、本命判断軸として依存し過ぎぬよう心掛けたい。
初心者ドラフト失敗あるある&乗り越えポイント
始めたてほど陥りやすい罠はいくつかある。“全員火力脳筋”“全員タンカー”“純ヒーラー複数被り”等々…。しかし誰しも最初からone hundred点満点など狙えないので安心してよい。「この役割誰も埋めてない?」「偏った分布になってない?」くらいざっくり自覚できれば十分スタートライン。近年UI側にも各役割提示機能など導入されつつあり、小さな気付きひとつひとつ積み重ねこそ最大武器になってゆく。不器用ながら何試合も繰り返すことで自然と“必要最低限埋め合わせ感覚”身についてくるものだと思う。
まとめ:その場対応力こそ真骨頂
MOBAジャンル最大のおもしろさとは、“正解不在”ゆえ毎試合新鮮課題との出会いなのかもしれない。同じ敵同じ味方でも微妙なBan/Pick順序違いや、不測のお祭り展開ひとつですべて覆される。その中で唯一磨ける武器、それこそ“その場対応力”。今日紹介したバースト・ピール両派閥観点、および各種シナジー・カウンター視点…これら複数並行思考できれば自然とワンランク上へ到達できる土壌となってゆくだろう。「次こそ勝ちたい」と本気で願うなら、一度立ち止まり“自チーム全体像”俯瞰してみてほしい。それだけでも明日からワンテンポ違う世界線へ踏み込めた実感、おそらく得られると思う。
